私の投資の原点となった本があります。ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん 貧乏父さん」です。私が最初にこの本を読んだのは大学生の時でしたが、今でも印象に残っています。この本のエッセンスは「資産価値が上がるものを買う」ということです。
持ち家は資産か
この本の中では、「自分のポケットにお金を入れてくれるものが資産」で、「自分のポケットからお金が出ていくものが負債」という記述がありました。多くの人は家(自分の家)を資産と捉えていますが、これは間違いだというのです。持ち家は、会計上は固定資産であり、資産と呼ぶことはできます。
しかし、通常、家を買うときは住宅ローンを利用するので、毎月ローンを支払う、つまり「ポケットからお金が出ていく」ことになります。資産価値のない家は、時間が経つにつれて価値が減少していきます。抽象的に言い換えますと、銀行へ金利を支払って、減価するものを取得するということになります。
この本では、不動産投資をして家賃収入というキャッシュフローを得る、つまり、「自分のポケットにお金を入れる」ことを勧めています。もっとも、日本の場合、不動産の価値が上がり続ける物件を見つけて、運営するのは簡単ではありません。
戦前は家を借りることが普通だった
1922年の東京府の調査では、持ち家率は7%、借家率は93%でした。戦前でも持ち家率は10%台です。戦後は、中流層の大衆化を推進するため持ち家政策が行われ、持ち家率がおよそ6割という高い水準に引き上げられました。例えば、住宅ローンの支払いに対しては、住宅ローン控除を設定し、一般市民の持ち家の取得を促しました。
持ち家住宅率は昭和48年(1973年)以降、60%前後で推移しています。「家は買うもの」という感覚は、実は戦後に政策的に作られた比較的新しい価値観と言えます。
価値が上がるものを買う
周りの人が家を買っているから自分も買う、住宅ローン控除を受けられるから家を買う、といった考えは気をつけるべきでしょう。特に資産形成初期に大きな住宅ローンを抱えてしまうと、大きな足かせになる可能性があります。
家の購入自体を否定しているわけではありませんが、金額の大きい買い物なので、将来的なキャッシュフローや資産価値を慎重に見極める必要があります。
話を元に戻しますと、持ち家自体からキャッシュフローは得られません。家の資産価値は時間の経過とともに減少していきます。その一方で、成長力のある企業は、年月を経るごとに生み出す利益を増やしていき、一株あたりの価値(EPS)は増加していきます。株式を保有し続けることで、その果実を継続して得ることができる、すなわち企業が自動的に「自分のポケットにお金を入れてくれる」のです。

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